グレープフルーツは薬と相性が悪い？

コラム

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2018.10.24

爽やかな酸っぱさとほろ苦い後味が人気のグレープフルーツですが、意外にも医薬品の分野では厄介者の扱いのようです。「聞いたことがある！」という方も多いですが、その理由を知っていますか？

グレープフルーツが薬と相性が悪い理由

原因はフラノマクリン

グレープフルーツにはフラノクマリンという成分が含まれており、そのフラノクマリンがCYP3A4という肝臓と小腸上皮細胞に存在する重要な代謝酵素を阻害する働きがあります。CYP3A4という代謝酵素は薬物の代謝に深く関与しており、私たちが口にする医薬品の約50%以上はこのCYP3A4 の働きがあって害を及ぼさない形で代謝・排泄されています。つまり、フラノクマリンによりCYP3A4 が阻害されると、分解されて体外に出ていくはずの薬効成分も体内に吸収されてしまうため、思わぬ相互作用が生じてしまうのです。具体的には、効果が強まったり、逆に効果が出なかったり、副作用が強まったりします。また、このフラノクマリンの阻害作用は不可逆的です。そのため、新しいCYP3A4が作られるまでは代謝は阻害されたままになります。このCYP3A4が新しくなるまでの期間は3～4日と言われているため、もしグレープフルーツジュースを飲んでしまったら、3～4日は薬（CYP3A4の代謝対象に限る）の内服を控える必要があります。グレープフルーツの中でもホワイトタイプとルビータイプがありますが、ルビータイプはフラノクマリンがホワイトタイプの約半分しか含みません。

グレープフルーツと相性が悪い薬（一部）

ED治療薬（バイアグラ、レビトラ、シアリス、アバナフィル、ウデナフィル）

グレープフルーツはED治療薬と相性がよくありません。ED治療薬はCYP3A4で代謝されます。そのため、CYP3A4 がフラノクマリンによって阻害されてしまうと、効果や副作用が強くなってしまい危険です。併用禁忌とまでは言われませんが、なるべく避けることをおすすめします。中にはこの効果増強を狙い、あえてグレープフルーツジュースと一緒にED治療薬を服用する方もいらっしゃいますが、重篤な副作用を起こすリスクがありますのでやめましょう。

AGA治療薬（フィナステリド、デュタステリド）

AGA治療薬のフィナステリドとデュタステリドはCYP3A4で代謝されます。したがって、やはりグレープフルーツジュースを摂取した場合には、効果や副作用が強まる恐れがあります。併用禁忌とまではいきませんが、控えた方が安心です。内服するタイプのミノキシジルは、UDP-グルクロン酸転移酵素によって代謝されますので、グレープフルーツの影響はないと推測されます。しかし、グレープフルーツと併用禁忌の薬に関する研究は現在も進められているため、このコラムの内容が絶対正しいということはありません。この他にも、グレープフルーツと相性が悪い薬が数多くあります。心配でしたら、かかりつけの薬局等でご相談ください。

グレープフルーツ以外にも注意すべき柑橘類

・スウィーティー

・メロゴールド

・晩白柚（バンペイユ）

・レッドポメロ

・ダイダイ

・文旦（ブンタン）

フラノクマリンが含まれていない柑橘類

・温州ミカン

・デコポン

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