男性更年期障害(LOH症候群)

男性更年期障害とは、その名の通り男性に起きる更年期障害です。従来は更年期障害といえば壮年の女性に起きるものと広く認知されていましたが、近年の研究では男性にも頻繁に起こり得ることが判明しております。欧米では1980年代から注目されており、日本でも最近マスコミ等で耳にするようになりました。ただし女性の更年期障害は閉経などわかりやすい目安があるのでよく知られていますが、男性にも更年期障害があることは一般的には広く知られていません。

男性更年期障害は男性ホルモンの一種であるテストステロンが主に加齢に伴い部分的欠乏することで引き起る疾患といわれ、LOH症候群(Late Onset Hypogonadism)や加齢男性性腺機能低下症候群(PADAM:Partial Androgen Deficiency of the Aging Male)とも呼ばれています。

男性更年期障害(LOH症候群)とは

男性更年期障害とは男性ホルモンの一種であるテストステロン値が減少することで引き起こされる男性特有の疾患です。テストステロンは男性の睾丸で95%、残りは副腎で分泌されます。テストステロンは筋肉や骨格、男性器の発育・機能維持といった身体的な側面から、やる気やバイタリティーや性欲を高めるといった心理的な側面での作用も合わせ持ちます。テストステロンは幸福感やポジティブさの元となるドーパミンを産生させる働きも持ちます。

この男性の生活の上で欠かせないテストステロンが減少すると

  1. 性欲減退、勃起機能の低下(ED)
  2. 筋容量・筋力低下またそれによる除脂肪体重の減少
  3. 内臓脂肪の増加
  4. 体毛・皮膚の変化
  5. 骨減少症、骨粗しょう症に伴う骨塩量低下、骨折のリスク増加
  6. 知的活動・認知力・見当識の低下
  7. 疲労感・抑うつ等に伴う気分変調
  8. 睡眠障害

といった症状が現れ、これらを男性更年期障害と呼称しています。以前よりやる気がない、元気がないと思ったら急に怒りだす、ちょっとしたことでイライラする、集中力が保てないなど実生活の中でもこういった方を見かけることもありますが、こうした症状のある男性はLOH症候群を疑ってみていいかもしれません。

男性更年期障害(LOH症候群)診断するには?

LOH症候群かどうかを判断するにはAMSスコアというものを使用します。チェックしてみて各項目を1~5点で評価します。

内訳は1点「ない」2点「軽い」3点「中程度」4点「重い」5点「きわめて重い」です。

  1. 総合的に調子が思わしくない(健康状態を本人自身で感じるか)
  2. 関節や筋肉の痛みについて(腰の痛、関節の痛み、手足や背中の痛み)
  3. 発汗の悩み(突然汗が出る、緊張や運動関係なくほてる)
  4. 睡眠の悩み(寝つきが悪い、ぐっすり眠れない)
  5. よく眠くなる、すぐ疲れる
  6. いらいらする(些細な事で腹が立つ、周りに当たり散らす、不機嫌になる)
  7. 神経質になったと思う(緊張しやすい、精神的に落ち着きがない)
  8. 不安感からパニックになることがある
  9. からだの疲労や行動力が減退した
  10.  筋力の低下がある
  11.  憂鬱な気持ちになる(落ち込み、悲しい、意欲がわかない)
  12.  人生の山は通り過ぎたと感じる
  13.  力尽きた、どん底にいると感じる
  14.  髭の伸びが遅くなった気がする
  15.  性的能力が低下した
  16.  早朝勃起回数の減少
  17.  性欲の低下(性交の欲求が起きない)

これらを点数付けし合計26点以下は正常、27~36点は軽度、37~49点は中程度、50点以上は重症とされます。

男性更年期障害(LOH症候群)の原因

男性更年期障害は男性ホルモンの一種であるテストステロンが欠乏することを原因として起こる疾患とされています。ではなぜテストステロンが減少するのでしょうか。

加齢によるテストステロン減少

男性更年期障害を引き起こす原因としてまず考えなければならないのが加齢です。男性におけるテストステロンの分泌の最盛期に当たるのが20歳代で、それを過ぎると徐々に減少していきます。またこのテストステロン減少には個人差もあり、70歳代の方でも30歳代の平均値と変わらない量を分泌している方もいれば、20歳代でかなり減少する方もいらっしゃいます。男性更年期障害は男性として生まれた以上、誰にでも起こり得る疾患といっても過言ではありません。

ストレスによるテストステロン減少

テストステロンの分泌量に密接にかかわるものとしてはストレスもあります。精神的なストレスを感じることで血圧や血糖値が上昇することは知られていますが、同時に脳下垂体からホルモン分泌の減少を命じる指令が出され、睾丸や副腎でのテストステロンの分泌量が低します。20歳代を超える男性は加齢のほかにも「仕事」や「実生活」でストレスを受ける機会も増えることから、さらにテストステロンの減少に拍車がかかると考えられます。

特定の疾患によるテストステロン減少

メタボリックシンドローム(メタボ)やパーキンソン病、うつ病、人工透析中の方などはテストステロンが減少する可能性があることが知られています。また睡眠不足・過度な飲酒・喫煙習慣といった不規則な生活習慣もテストステロン減少の原因となる、といった研究報告もあります。

男性更年期障害(LOH症候群)の治療

男性更年期障害はテストステロンが欠乏することで起こる疾患ということから、体内のテストステロン値を正常に戻せば改善されていきます。近年は男性更年期障害の認知が高まってきたことにより専門的な治療を行う医療機関もあります。

改善方法としては以下のものが挙げられます。

ホルモン補充方法

主に泌尿器科や総合病院の男性更年期障害外来で行われている治療法です。その名の通り減少している男性ホルモンを筋肉注射により補充する療法です。適応は40歳以上の方で自覚・他覚的に男性更年期障害の症状があり、血液検査の際に血中遊離テストステロン値が基準より低い、かつ重篤なその他の基礎疾患を持たない方です。テストステロン、または性腺刺激ホルモンを2~3週間ごとに筋肉注射により補充する療法や、男性ホルモン含有軟膏を1日1~2回程度睾丸の皮膚(陰嚢)に塗布し経皮吸収させる療法があります。基本的には3ヵ月ほど治療を継続し、有効性が認められた場合は継続していきます。

男性更年期障害の治療効果の高いホルモン補充療法ですが、副作用の報告も多々あります。主に心血管系疾患や脂質代謝異常、多血症、睡眠時無呼吸症候群、前立腺疾患の発生が報告としてございます。

ユナイテッドクリニックでは患者様への副作用の影響の観点からホルモン補充療法は行っておりません。

DHEAの内服による改善法

DHEA(Dehydroepiandrosterone:デヒドロエピンドロステロン)とは、主に人体の性腺(男性の場合は精巣、女性の場合は卵巣)や副腎で生成される、男性ホルモンの一種であるテストステロンや女性ホルモンの一種であるエストロゲンの前駆体、いわばホルモンの元となる物質です。DHEAを医療用補助栄養剤等で補うことでテストステロン値の増量効果が期待でき、男性更年期障害の予防・改善につながります。DHEAはアメリカをはじめとした海外では「若返りのサプリメント」として市販され、男女問わず広く使用されています。しかし日本では現在医薬品の指定を受けているため、ドラッグストアや量販店等では販売されず、また国内で医薬品として製造する企業もないため処方する医療機関も少ないのが現状です。

DHEAは海外から個人輸入代行業者を通した通信販売でも購入は可能ですが、不透明な流通路では偽造品が混入する可能性も多く、また医薬品ということからも医師の指導の下に使用するようにしましょう。

 
はじめての方へ/診療の流れ
トップへ