デュタステリド

デュタステリド

デュタステリドの構造式

日本でのAGA治療ではフィナステリドを主成分としたⅡ型5α還元酵素薬に分類されるMSD社(旧万有製薬)のプロペシアが有名ですが、プロペシアは海外では「フィンカー」という商品名で前立腺肥大症薬として販売されています。

デュタステリドはイギリスの製薬メーカーのグラクソ・スミスクライン社(GSK)によって開発されました。実はデュタステリドは古い成分で2001年に開発されています。フィナステリドと同様に前立腺肥大症の治療薬として開発されました。AGAが進行した頭皮にはDHT濃度が高いことが判明しています。またDHT濃度が高くなると、前立腺に作用して前立腺肥大症を引き起こすことが病因として判明しています。そのため、DHT産生を抑制するフィナステリドやデュタステリドは、前立腺肥大とAGAの両方の治療に治療効果を発揮します。デュタステリドはフィナステリドのようにⅡ型5α還元酵素だけでなく、Ⅰ型5α還元酵素(5αリダクターゼ)の抑制効果も持つためにDHTを大幅に抑制することが臨床試験によって明らかとなりました。

デュタステリドを主成分とした薬剤は日本でもグラクソ・スミスクライン社(GSK)から2009年に前立腺肥大症薬「アボルブ」として承認・認可されていましたが、AGA治療薬としては海外で「アボダート」として販売されているのみでした。しかしとうとう日本でも2015年9月AGA治療薬「ザガーロ(ZAGALLO)」として承認され、2016年6月に販売が開始されました。デュタステリドの高い発毛・育毛効果は医学的に証明されており、今後は日本のAGA治療の主役になっていく成分だと思われます。

プロペシアやフィナステリドと比較すると、ザガーロ(デュタステリド)の価格(値段)は市場価格で10,000円台と価格(値段)が高めです。AGA薬としてのデュタステリドは保険診療ではないので薬価はなく、病院やクリニックなどで処方価格に違いがあります。また初診料や再診料、処方箋料などの費用がかかる場合もあります。当院では最安(最安値)で処方しており、薬剤費以外は頂いておりません。また医師の処方箋なしでは入手できません。薬局や販売店では販売されていませんのでご注意ください。

ザガーロとしては価格(値段)が高めであるため、同じGSK社のデュタステリド製剤であるアボルブを使用される方や、通販や個人輸入代行を使って輸入・購入し、ザガーロのジェネリックを入手される方もいらっしゃいます。格安・激安の通販・個人輸入代行を輸入しても偽物を購入して効かないといった場合もあり注意が必要です。厚生労働省も医療機関での処方を推奨しています。

ユナイテッドクリニックは東京や、神奈川、埼玉だけではなく名古屋、大阪、神戸、福岡などの様々な地域から多くの方が処方を希望してご来院されます。

デュタステリドとは

デュタステリドの構造式

*デュタステリドの構造式

一般名 デュタステリド
一般名(欧名) Dutasteride
化学名 N-[2,5-Bis(trifluoromethyl)phenyl]-3-oxo-4-aza-5α-androst-1-ene-17β-carboxamide
分子式 C27H30F6N2O2
分子量 528.53
融点 242?250℃
構造式 (図略)
性状 本品は白色?微黄色の粉末である。
分配係数 (logP):4.9(1-オクタノール/水系)

デュタステリドはプロペシアの主成分であるフィナステリドと同様に、AGA(男性型脱毛症)発症要因となるDHTを抑制する医薬品成分です。その脱毛抑制効果はフィナステリドよりも高いという臨床データがあり、実際に個人輸入やAGA専門医師からの処方による利用者統計では非常に効果的な改善例が多数示されています。デュタステリドはAGA治療薬のザガーロや、前立腺肥大治療薬のアボルブの成分に使われています。

ザガーロとは

ザガーロ

※ザガーロカプセル0.1mg・ザガーロカプセル0.5mgの画像

ザガーロは、デュタステリドを有効成分とするAGA治療薬です。製造・販売はイギリスに本社を置くグラクソ・スミスクライン株式会社(GSK)。製品名は「ザガーロカプセル」で、0.1mgカプセルと0.5mgカプセルの2種類があります。用量は、それぞれ一箱30カプセル(10錠シート×3枚)です。楕円形の横長い形状をしたカプセルで、0.1mgカプセルは肌色、0.5mgカプセルはピンク色をしているのが特徴です。0.1mgには“GS TFH”、0.5mgには“GS MUF”の文字が刻印されています。

2001年に開発されたデュタステリドはザガーロとして、男性型脱毛症患者を対象とした臨床試験において、男性型脱毛症患者に対する有効性と安全性が確認されたことから、開発から14年後の2015年9月、男性型脱毛症の効果・効能で厚生労働省から承認を受けました。国内では、プロペシア(有効成分:フィナステリド)に次いで2番目に承認されたAGA治療薬となっています。

アボルブとは

5mgの画像

※アボルブ0.5mgの画像

デュタステリドを主成分とするアボルブは2001年の開発から8年後の2009年に日本で認可・販売された前立腺肥大治療薬です。やはりグラクソ・スミスクライン(GSK)から販売されており、製剤は0.5mgカプセルのみです。楕円形の横長い形状をしたカプセルタイプの錠剤で淡い黄色、“GX CE2”という文字が刻印されています。

ザガーロと成分的に全く同じであるため、ザガーロが販売される前はAGA治療のために服用する人も多くまた、現在でもザガーロより価格が安いのためAGA薬として購入を希望される方がいます。韓国ではAGA治療薬アボダートが日本より先に販売されていたので、ザガーロ販売以前は、フィナステリドで効かない方や、より発毛効果を実感したい方はAGA専門クリニックでアボルブやほかのデュタステリドの処方でAGA治療を行っていました。

アボダートとは

よく、アボルブなどデュタステリドのジェネリックとして混同されることが多いのですが、アボダートもザガーロ、アボルブと同様に、グラクソ・スミスクライン(GSK)が製造・販売しています。成分も変わらないので、グラクソ・スミスクライン社は同じ薬を、名前を変えて3剤出していることになります。アボダートは英国のグラクソ・スミスクライン社の製品で、ザガーロ、アボルブは日本のグラクソ・スミスクライン社の製品、つまり、アボダートは海外で販売されている薬剤名ということです。

デュタステリドの作用機序

AGA治療としての作用機序

ヘアサイクル

デュタステリドはプロペシアの主成分であるフィナステリド同様、AGAの原因であるDHTを生成するのに必要不可欠な5α-還元酵素を阻害することでDHTの産生を抑制しAGAを改善します。この5α-還元酵素にはⅠ型とⅡ型がありフィナステリドはⅡ型しか抑えることが出来ませんが、デュタステリドはⅠ型とⅡ型の両方の働きを抑えることができるので、プロペシアよりもDHTの生成をより強く抑えられます。ザガーロ承認時の第Ⅲ相臨床試験データでは「デュタステリド(ザガーロ)0.5mg」は「フィナステリド(プロペシア)1mg」に比べて発毛効果が約1.6倍高いことがわかりました。また海外の臨床試験でⅡ型の5α-還元酵素阻害作用でデュタステリドはフィナステリドの3倍、Ⅰ型に関しては100倍以上あるとの報告もあり、より強力にDHT産生抑制効果があることがわかっています。

前立腺肥大治療としての作用機序

デュタステリドの前立腺作用

デュタステリドは前立腺肥大症の適応を有する初めての5α-還元酵素阻害薬の成分として有名です。Ⅰ型およびⅡ型の5α-還元酵素を両者とも阻害し、テストステロンから活性の高いアンドロゲンであるDHTへの変換を抑制することにより、肥大した前立腺を縮小させる事が出来ます。前立腺体積の減少により、尿道の機械的閉塞が緩和され、下部尿路症状や尿流の改善が期待されます。

デュタステリドの効果

DHTはAGAの進行や前立腺肥大を起こす男性ホルモンとして知られています。デュタステリドはこの男性ホルモンDHTの産生を抑制することで薄毛の頭皮中のDHT濃度を低下させ、髪の毛のサイクル(ヘアサイクル)を整え、1年未満に短縮した髪の毛の寿命を通常の6~7年に近づけ発毛を促します。また前立腺肥大の原因でもあるDHT産生を抑制し、前立腺肥大による頻尿などの症状を緩和させます。

AGA治療としての効果

発毛効果
発毛効果

上の表はデュタステリド(ザガーロ)を使用した際のデータになりますが、4週時における毛髪数(頭頂部の直径2.54cm円内における直径30μm以上の非軟毛の数)のベースラインからの変化量(調整済み平均値)は、デュタステリド0.1mg群および0.5mg群でそれぞれ63.0本、89.6本、フィナステリド1mg群で56.5本、プラセボ群で-4.9本であり、デュタステリド0.1mg群および0.5mg群では24週時において、プラセボ群と比較して毛髪数が有意に増加していることが分かります。

育毛効果
育毛効果

デュタステリド(ザガーロ)0.1mg群および0.5mg群では、24週時において、プラセボ群と比較して毛髪の太さ( 頭頂部の直径2.54cm円内における直径30μm以上の非軟毛の太さの合計)が有意に増加していること、またデュタステリド0.1mgと、フィナステリド1mgがほぼ同等の効果を示すことが、上の表から見て取れます。

また、海外の臨床試験ではありますが、デュタステリド0.5mgとフィナステリド5mg(通常服用の5倍量)を半年間服用した場合、デュタステリドを服用したグループの発毛量が約30%高かったことが試験の結果、分かっています。

前立腺肥大治療としての効果

対症療法薬のα遮断薬とは異なり、肥大した前立腺そのものを小さくする効果があります。また、従来の抗アンドロゲン薬に比べ、副作用の軽減が図れると期待されています。実際に国内で実施された前立腺容積30cc以上の前立腺肥大症患者を対象とした二重盲検比較試験(1日1回24週間経口投与)において、用量依存的な前立腺容積の減少が認められています(下表参考)。

前立腺容積の投与前後の変化 単位(cc),変化率は線形モデルによる調整済み平均値
  プラセボ(n=70) 0.05mg(n=67) 0.5mg(n=70) 2.5mg(n=67)
投与量 平均値(SD) 45.7(20.26) 44.4(14.22) 45.4(15.20) 41.0(13.61)
24週後 平均値(SD) 42.1(21.26) 37.9(14.72) 34.6(14.66) 30.7(11.85)
変化率(%) ?8.7 ?15.5 ?25.3 ?25.6
p値 0.021 <0.001 <0.001

デュタステリドの副作用

第II/III相国際共同試験において、臨床検査値異常を含む副作用が報告されました。日本人120例中、臨床検査値異常を含む副作用が報告された症例は14例(11.7%)で、その主なものは、リビドー減退7例(5.8%)、勃起不全6例(5.0%)、射精障害2例(1.7%)でした。これはフィナステリドに比べると副作用が出やすいように見えますが、前立腺肥大症の治療薬としてはかなり低い数値です。

デュタステリド服用の注意点

PSA値が変化します。

前立腺癌の腫瘍マーカーPSAの数値を低くしますので、PSAを測定する際には、担当医にデュタステリド製剤を服用していることを告げてください。前立腺癌が見逃される可能性があります。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

女性には投与しないようにしてください。ラット及びウサギにデュタステリドを経口投与した結果、雄胎児の外生殖器の雌性化がみられ、本剤の曝露により血中ジヒドロテストステロンが低下し、男子胎児の外生殖器の発達を阻害する可能性が示唆されています。本剤が乳汁中に移行するかも不明で、また経皮吸入の程度も不明なので、女性の方はデュタステリド製剤に触れてはいけません。

小児等への投与

小児等には投与しないようにしてください。小児等に対する適応はなく、安全性及び有効性は確立されていません。

過量投与

健康成人男性にデュタステリドを最大40mg1日1回7日間投与した臨床試験において、重大な安全性上の問題は認められませんでした。また、前立腺肥大症患者にデュタステリド5mgを1日1回6ヶ月間投与した臨床試験で認められた副作用は、デュタステリド0.5mg投与時に認められたものと同様でしたが、デュタステリドに特有の解毒剤はなく、また過量投与したところで効果に変わりはありませんので、適切な量を服用するようにしましょう。

前立腺癌の腫瘍マーカー(PSA)検査

デュタステリドは前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)を低下させます。これはデュタステリド内服中に前立腺癌になりにくくなるわけではなく、逆に前立腺癌が発生した際に見落とされ、治療が遅れて悪化してしまう可能性を含んでいます。このためPSA検査を受ける予定のある方はあらかじめ主治医にデュタステリドを服用していることを、必ず話してください。。

デュタステリドとフィナステリドの違い(比較)

ヘアサイクル

作用機序の違い

デュタステリドとフィナステリドは同じ5α-還元酵素阻害薬に分類される薬剤であり、その作用機序は似通っています。違いはデュタステリドはⅠ型、Ⅱ型の5α-還元酵素を阻害するのに対して、フィナステリドはⅡ型の5α-還元酵素のみしか阻害出来ません。フィナステリドに比べると、デュタステリドの方がより強力にDHT発生原因物質である5α-還元酵素を阻害するため、比較するとより発毛効果が高いことが分かっています。

デュタステリドの前立腺作用

上述しましたが、24週の投与でデュタステリド(ザガーロ)0.5㎎で+89.6本増加、0.1㎎で+63.5本、フィナステリド1㎎で+59.0となっており、デュタステリド0.5㎎が発毛本数が最も多くデュタステリド0.1㎎とフィナステリド0.1㎎がほぼ同等の効果であることが分かります。
また海外の臨床試験でフィナステリドを1日1㎎、連続6ヶ月投与で効果が不十分だったAGA患者をデュタステリドへ切り替えさせたところ、デュタステリドを1日0.5㎎、連続6ヶ月の投与で77%(31例中24例)の改善率が示されています。内訳としては、不変・・7例、軽度改善・・17例、中等度改善・・6例、著名改善・・1例でした。

フィナステリド系製剤で十分な効果が得られない方がデュタステリド系製剤に切り替えることで発毛効果が期待でき、満足感を得られる可能性があります。

薬効残存時間の差異

主に半減期という言葉で解説されることが多いのですが、半減期とは薬品成分が血液に溶け込む濃度が半分になるまでの時間を指します。デュタステリドの場合この半減期間が非常に長く、約2週間以上続くことが公式に発表されています。フィナステリドでは6~8時間が公式発表です。(しかしフィナステリド服用中止後もDHT抑制効果が数ヶ月続くケースがあり、一概にはいえません。)このため、継続服用においてデュタステリドはフィナステリドよりも血中DHT抑制濃度の濃薄が発生しにくく、安定した頭髪成長効果をもたらすと考えられています。

デュタステリドとフィナステリドの併用

研究ではなく、症例としてであれば、オーストラリアでフィナステリドとデュタステリドの併用で症状が改善したという症例が1例だけあります。47歳の男性が4年間プロペシアを服用していたのですが、効果が少なくプロペシアの服用を続けたままデュタステリドを低用量で併用したところ、3ヶ月で劇的に改善したというものです。ただし、これはデュタステリドを極低用量で服用するという方法であり、プロペシアとの併用を無理にしなくても、デュタステリドを0.5mg服用していれば改善した症状に思われます。

そもそも、デュタステリドとフィナステリドは同じような作用機序であり、デュタステリドでほぼ完全にDHT産生を抑制することができるので併用することにあまり意味がありません。併用するのであれば、ミノキシジル製剤と併用しましょう。ミノキシジルは、デュタステリドと作用機序が異なるため、更なる発毛効果が期待できます。

デュタステリドとミノキシジルの併用

ミノキシジルの毛髪に対する作用・効果

*ミノキシジルの毛髪に対する作用・効果

ミノキシジルとは簡単に説明すると、血流を改善し、さらに毛乳頭や毛母細胞を活性化させ育毛を促すことが出来る薬剤です。デュタステリドは脱毛を抑えて産毛を生やしていく薬剤であり、作用機序が違います。そのため、生え際・前頭部・頭頂部などの得意、不得意を補完的に働くため、併用治療は非常に有効です。AGA治療には多角的な治療が非常に有効なので、ミノキシジルの外用剤やミノキシジルタブレットとデュタステリドを併用して治療することをお勧めいたします。

デュタステリドを動画で解説

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