デュプロストは男性の薄毛を改善する薬剤です。専門的には男性型脱毛症治療薬(AGA治療薬)とよばれておりデュプロストは脱毛を予防する薬剤といえます。デュプロストは主成分がデュタステリドのジェネリック医薬品で先発薬よりも安価で治療ができます。薬剤は最初に製造する際に特許や臨床データなど煩雑な認可が必要となりますがジェネリック医薬品は特許期間が過ぎた薬剤ですのでそういった対応が省けるため安く治療が可能です。デュプロストの先発薬はアボルブ、ザガーロで効果・効能は同じです。AGA治療は時間がかかる治療で基本的に年単位で改善していきます。そのため安価なジェネリック薬品は継続しやすくなる利点もあります。
AGA(男性型脱毛症)は国内で1200万人以上が悩んでいるといわれ成人男性の前頭部、頭頂部またはその両方が薄毛になる状態のことを指します。ストレスが原因の円形脱毛症や皮脂によるひこう性脱毛とは区別されAGAは発症すると急速に薄毛が進行していきます。AGAの原因はDHTという男性ホルモンでDHTが生成されると髪の毛をつくるサイクルが乱れ毛髪が十分に育たなくなり、成長しきらない毛髪が脱毛することで薄毛になっていきます。デュプロストは毛髪が育たなくなるサイクルを改善することで脱毛を防ぐ薬剤です。
製品名;デュプロスト(Duprost)
成分名:デュタステリド(Dutasteride)
製造・販売・国名: Cipla社(INDIA)
用量:0.5mg
適応:男性型脱毛症 前立腺肥大症
服用方法:1日1回水で服用する
デュプロストはインドのムンバイにある大手ジェネリック薬品メーカーCipla社が製造・販売するジェネリック医薬品です。日本では2015年に男性型脱毛症薬として認可されたグラクソスミスクライン社のザガーロがありますがどちらもデュタステリドが有効成分であり効果、効能は同じです。この有効成分デュタステリドははじめは前立腺肥大症が適応の薬剤でした。前立腺とは男性の陰部に存在する器官で年齢とともに男性ホルモンが減少することで肥大していき尿漏れや尿が飛び散るといった日常で困るような症状がでてくるため治療されていましたが、男性型脱毛症にも適応があることが確認されて改めて研究され適応を変更し承認を受けた薬剤です。デュタステリドはプロペシアの成分フィナステリドの強化版といわれており、男性型脱毛症の原因物質DHTを強力に抑えます。
デュプロストは毎日1錠服用し、最低でも1年以上継続治療することで効果が実感できるようになる薬剤です。継続治療を推奨するのは髪の成長サイクルがあるためです。髪の毛は1日50本以上は脱毛するといわれていてその後2~6年をかけて生え変わるというサイクルを続けています。このサイクルをヘアサイクルとよび3つの期に分かれています。
成長期:2~6年にわたり髪の毛が成長する期間。前中後期に分かれています。髪の毛の8~9割以上が成長期の状態だといわれています。
ⅰ)前期:毛髪とは呼べないほど小さく、細い状態で毛包が大きく育ち始める期間です。毛母細胞の活動も活発となっています。頭皮表面に産毛が出てくるまでには80日以上かかるといわれています。
ⅱ)中期:毛髪は細く、短く、成長途中の段階で、毛包が深くなってきており毛根が成長していることが確認できるようになる期間です。頭皮上に産毛として認識できるようになります。
ⅲ)後期:毛髪として完全に成長した状態です。毛包も深くまで達ししっかりとした太く、長い、毛幹が頭皮をつきぬけて目視で毛だとわかる状態まで成長する期間です。
退行期:成長が弱まりはじめ髪の毛が抜ける準備をする期間です。毛乳頭が縮小しはじめ毛母細胞の活動も減少していきます。2~3週間ほどかかります。
休止期:毛母細胞などの活動が完全に止まり、脱毛していく時期です。おおよそ2~3ヵ月ほどかけて脱毛していきます。
AGAの原因DHT(ジヒドロテストステロン)は成長期の毛母細胞を阻害したり、皮脂を過剰分泌させたりする物質で2~6年の成長期を3ヵ月~1年未満に短縮させます。DHTの影響により新しい毛が生えてこず、髪の毛も満足に成長しないため、細く、短く、色素の薄いまだ幼弱な毛が大量に脱毛します。AGAでは頭髪の1~2割以上が抜けることになります。20万本と仮定すると3~4万本が抜けている計算になります。DHTは本来存在しないのですが精巣にあるテストステロンと頭部の毛根にある5αリダクダーゼ酵素が反応することでDHTが生成され髪の毛に悪影響を与えます。この毛根にある5αリダクダーゼを強力に阻害するのがデュプロストです。5αリダクダーゼを阻害することでヘアサイクルが元にもどりしっかりとした毛が育ちます。5αリダクダーゼにはⅠ型とⅡ型があります。
5αリダクダーゼⅠ型:全体の30~40%にあたり、側頭部、後頭部の皮脂腺に主に存在します。
5αリダクダーゼⅡ型:全体の60~70%にあたり、頭頂部、前頭部の毛乳頭に存在します。毛乳頭は毛髪生成に深く関わっており、Ⅱ型を抑制することは必須となります。
デュプロストの成分デュタステリドは5αリダクダーゼにはⅠ型とⅡ型両方を抑えることで強力な脱毛抑制効果があります。プロペシアで知られる有効成分フィナステリドはⅡ型のみを抑制するためフィナステリド使用していた方がデュタステリドに変更した場合おおよそ1.6倍の効果、77%が効果を実感しているというデータもあります。効果は半年ほどで抜け毛が減り、髪にコシやハリが出てきますが目に見えるような効果は半年以上、1年経過しなければ実感できません。実際26週のデータで改善傾向がみられています。また1年以上経過する変化なしが減少し軽度改善、中等度改善が優位に増加しています。
デュプロストの副作用として男性性機能に関する報告が全体で10%ほど確認されています。内訳として勃起不全4.3%、性欲減退3.9%、精液減少1.3%があります。デュプロストはホルモンに影響を与える薬剤のため影響が指摘されています。こういった副作用を持つため個人での使用は控えたほうがいいでしょう。しっかりとしたAGA専門外来で医師の指導のもと治療を継続することをお勧めいたします。その他にも女性乳房化、頭痛、抑うつ症状、発疹、腹部不快感などが報告されています。
デュプロストを服用しはじめてから1か月ほど初期脱毛といって古い毛が新しい毛に押し出されることで脱毛する期間があります。退行期2~3週、休止期2~3ヵ月かけてゆっくりと抜けていく古い毛がヘアサイクル改善により毛母細胞が活性化されることで一気に脱毛しているだけですので、過度な心配はせずに継続治療を続けましょう。
デュプロストは国内未承認薬で、購入することはできません。唯一個人輸入で購入できますが厚生労働省から個人輸入での薬剤の購入に関してはニセモノが多く、健康被害も多数報告され場合によっては死亡事故もおきていますのでやめておきましょう。デュプロストなどのデュタステリド製剤はAGAの標準薬として専門クリニックで購入が可能です。また副作用などの観点からも医師からの処方がのぞましく、自己で判断せずに医師の指導のもと継続治療することで経過や薬剤の変更や用量の変更などオーダーメイドでの治療が薄毛改善への近道です。