シアリスの偽物が出回ってるって本当？

コラム

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2018.02.23

ED治療薬の中でも根強い人気を誇るシアリス(成分名：タダラフィル)ですが、このシアリスの偽物が出回っているといいます。どのように見分ければよいのでしょうか。またどうすればそのような偽物を避けることが出来るのでしょうか。

5錠に2錠は偽物？！

ある調査で、一定の条件で集められた「シアリスを含むED治療薬」のなんと約40パーセントが偽物であったとする結果がでています。これは、バイアグラのファイザー株式会社、レビトラのバイエル薬品株式会社、シアリスの日本新薬株式会社・日本イーライリリー株式会社の4社が合同で行った、輸入代行業者の取り扱うED治療薬を対象とした調査で明らかになった数字です。「輸入代行業者」とは日本で取り扱いがない商品を輸入する際に、税関等で必要な手続きを手数料を支払うことで代行してくれる業者ですが、医薬品を扱う輸入代行業者はかなりの数がインターネット上で運営されており、これらの実態が明らかになったものです。

2016年11月24日に最新の調査結果が報告されており、調査に至った経緯についてファイザー社からリリースされている調査結果では以下のようにしています。

“4社で製造・販売しているバイアグラ、レビトラ、シアリスについては、各社でこれらの偽造医薬品の差し止めや、警察の偽造医薬品販売業者摘発に協力してまいりました。しかし、日本国内において、2015年に税関で差し止められた偽造医薬品は、1,030件と10年前の11件に比べ、およそ100倍に増えており、その多くがED治療薬と報告されています。ネットによる医薬品の入手については、健康被害と経済被害の可能性があることから、継続的に市民向けの注意喚起を行っており、2009年には製薬会社4社合にて「ネットで購入した医薬品の真贋調査」の結果を発表しました。しかしながら、未だに多くの偽造品が流通しており、健康被害と経済被害が続いていることから、偽造医薬品の拡散実態の把握のために、2016年の調査結果を受けて、4社異なる注意喚起を行うことになりました。なお今回の実態調査については、2009年に続いて2回目になります。”

このように、偽造医薬品が蔓延している実態は以前からも指摘されており、同じく2009年に発表された合同調査でも明らかになっています。こちらでは最新の調査結果として出た偽造医薬品の割合「約40%」を上回る、「55.4%」という結果が出ています。

シアリス100mgは存在しません

当院でも「以前はネットで輸入して飲んでいた」という方が多く来院されますが、多くが薬剤への不安などから医師と直接相談したいというものです。その中でも最近「シアリスの100mgを飲んでいた」というお話をよく耳にします。これはシアリスの錠剤に「C100」の刻印が入っており、通常の10mg、20mgよりも効果が高いことをうたったものとのことですが、明らかに偽物である事が分かります。

シアリスの規格は、「5mg」、「10mg」、「20mg」の3種類の錠剤のみで、それ以上のものは存在しません。実際にシアリスの主成分、「タダラフィル」を100mg含有しているものであるとするなら、極量とされている20mgの5倍の量に当たりますので、どのような思いもよらない症状がでてしまうかわからず大変危険です。

偽造医薬品の怖いところは、錠剤に刻印される「C100」が非常に精巧に本物らしく作られていることです。これが「C10」、「C20」と通常量の刻印であれば、見分けるのは非常に困難です。実際に偽造医薬品の実態調査においても、偽造が非常に精巧で見分けが付かないことが報告されています。このような偽造医薬品を誤って飲んでしまわないためにも、輸入代行業者を利用した医薬品の輸入は決してお勧めできないのです。

偽造医薬品の被害例

最近の偽造医薬品の被害でいうと、C型肝炎を完治できる薬剤として多くの方に服用されている「ハーボニー(成分名：レジパスビル)」の偽造医薬品が、奈良県の普通の調剤薬局で販売されていたことが分かり、大きな問題となった事例があります。これは薬局側が卸しの業者から偽造医薬品だと気づかずに購入してしまったことが原因だと言われていますが、報道によると複数の卸から転売されていたものがこの薬局に流れていたことが分かっています。

このハーボニーは錠剤の色・形は明らかに異なるものでしたが、ボトルやラベルなどのパッケージは本物とまったく見分けが付かない精巧なつくりになっています。また、偽造医薬品の錠剤は成分的にはただのビタミン剤だったとのことで、一見では何の健康被害もないように思えます。しかし、ハーボニーの治療特性上、途中で服用を中断してしまうことでウィルスに耐性がつくなどして、効果がでなくなってしまうことがあり、治療の機会を奪われてしまうことがあればそれは重大な被害だと言えるのです。

輸入代行業者の利用は決してお勧めしません

ED治療薬の偽造品の調査においては、

“日本とタイの調査会社に依頼し「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」を扱う(実質販売している)「個人輸入代行」業者のネットサイトから、1サイトごと各ブランド1サンプル(合計15サンプル)ずつ、合計ブランド30サンプル(日本、タイで各々15サンプル)を目標に購入しました。”

以上のような調査方法が用いられており、「インターネットでED治療薬の個人輸入代行」という方法の危険性に警鐘を鳴らすという形になっています。ED治療薬の偽造品においては、覚せい剤と似た化学構造をもつ「エフェドリン」という成分が含有されていたり、殺鼠剤(鼠を駆除する際に使用される薬剤)の成分が含まれていたりと、服用すべきでない成分がふくまれており重大な健康被害を生む可能性があるのです。

ED治療というのは、治療薬の処方を受けるのはもちろん相談することさえ恥ずかしいと思われる方も少なからずいらっしゃるはずです。しかし、安易に薬剤を手に入れようとすると相応のリスクがあることは知っておいたほうが良いでしょう。ED治療を真剣に検討している方は、専門のクリニックや医療機関で治療薬の処方を受けることを強くお勧めいたします。

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