バイアグラのファイザー社ってどんな会社？

コラム

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2018.02.16

世界で初めてＥＤ治療薬のバイアグラ(シルデナフィル)を製造販売した事で有名なファイザー社は、世界の150カ国以上で事業を展開しているグローバル企業です。ファイザー社は様々な疾患分野で数多くの新薬を開発してきた製薬会社です。今回はファイザー社の成り立ちをご紹介します。

創世記

ドイツ人で従兄弟同士のチャールズ・ファイザーとチャールズ・エアハルトは、アメリカに移り住み1849年に化学会社チャールズ・ファイザー・アンド・カンパニーを設立。二人は、アメリカで生産されていない特殊化学薬品を製造することがビジネスチャンスだと考えました。そして高価な輸入品に対抗して優位に立つことで事業を拡大していきます。最初のヒット製品は、苦い薬しかない時代に開発した口当たりの良い駆虫剤「キャンデー状サントニン」でした。南北戦争では、北軍が使用する薬品の多くはファイザー社が供給したといわれています。

ファイザー社の名を知らしめたペニシリン製造

19世紀半ば以降、ファイザー社はレモン・ライムなどの柑橘類の汁を原材料とした「クエン酸」を製造します。しかし、原材料の殆どを輸入に頼っていたため、価格・供給量共に不安定でした。その後チーズの発酵作用を応用し、国内で調達出来る砂糖を原料としたクエン酸の量産に成功したことで、1919年には1ドル25セントであった生産コストが20セントに大幅に低下。クエン酸は、ファイザー社の主要製品としてその後の発展を支えていきます。

そして第二次世界大戦中、当時は量産が非常に困難と言われていた「ペニシリン」の製造に着手。他の企業が量産化に苦戦する中、ファイザー社はクエン酸製造の技術をペニシリン製造に転換することに成功します。その後、経営陣が私財を費やす事で量産化の体制を整え、当初の予想を5倍も上回る量のぺニシリンを生産することができるようになりました。ファイザー社のペニシリン製造技術は他社の追随を許さず、1944年のノルマンディー上陸の際、連合軍が携帯したペニシリンの9割を、それ以降、終戦までに連合軍が使用したペニシリンの半量をファイザー社が生産し、無数の人命を救うことに貢献します。

第二次大戦後のファイザー社

創設後100年にわたり、ファイザー社の製品はバルク(最終製剤の直前の分包されていない段階の医薬品)として他社に売られ、そこでパッケージ化され、他社ブランドで市場に出ていました。しかし、1950年の抗生物質テラマイシンの認可を機にファイザー社は自ら開発した医薬品をファイザーブランドとして販売する医薬品メーカーに生まれ変わります。そこからファイザー社は全世界に販路を拡大し、国際的な大手薬品メーカーに成長しました。その後も、大型企業の買収などを繰り返しながら成長を続け、1990年代後半の「バイアグラ（シルデナフィル）」の開発で一躍有名となります。2010年にはワイス社を買収し、現在にいたっています。

日本のファイザー社

日本では、1953年に田辺製薬と共同出資して、「ファイザー田辺株式会社」を設立。1955年には、田辺製薬の持ち株は、台糖社に譲渡され「台糖ファイザー株式会社」となりました。1983年には米国ファイザーの完全子会社となり、1989年には「ファイザー製薬株式会社」に社名を変更して現在にいたっています。
現在の事業内容としては、医療用医薬品のほか、動物用医薬品、農薬の製造販売、輸出入を行っています。

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