コラム

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パースピレックの使い方

2018.03.21

3月に入りようやく暖かくなってきましたが、気温が上がってくると気になるのが汗、体臭ではないでしょうか。公共交通機関やスーパー、百貨店の暖房が効き過ぎていることもありますし、営業の方も少し小走りすれば汗をかくくらいの気温に上がってきています。関東の桜は3月25日ごろが開花の予報が出ており、今週の寒い雨を過ぎればますます気温が上がっていきそうです。

「制汗」の作用をうたった商品にはいろいろなものがありますが、今回はパースピレックスという制汗剤について、その他の商品とどのような点が異なるのか、どのような使い方をするのかについてお話ししていきます。

パースピレックスとは

制汗剤というものを想像してもらうときに、一般的にはスプレー缶に入っており、香料やメンソールの成分を含んだものを想像される方が多いかと思います。つまり、体臭をその他の匂いをつけることで感じにくくさせたり、メンソールでさらさらと体温が下がったように「感じさせ」たりする効果によって、制汗しているのです。

パースピレックスがそのような一般的な制汗剤と異なるのは、匂いやベタつきのもとになる、汗そのものの分泌を止めることで制汗するというメカニズムであることが挙げられます。匂いというものは、汗が空気に触れ酸化したり、雑菌が繁殖することで起こってきます。つまり、ちょっとした汗の匂いを抑えたいという方から、ワキガの症状を深刻に悩まれている方まで広く使用することが可能で、高い効果を得られるのです。

パースピレックスはデンマークのRiemann A / S社というメーカーで製造・販売されており、日本では代理店を通して販売されているものが「デトランスα」という名前でも販売されているようです。Riemann A / S社はClaus Riemann氏によって創業され、30年以上スキンケア商品を専門にあつかうメーカーです。パースピレックスが開発に至ったのは、Claus氏の妹が足の過度の発汗に悩んでいたことから始まったとのことです。

体臭の原因とパースピレックスの働き

前述したように、汗は通常それ自体は全くの無臭ですが、「汗の酸化」「雑菌の繁殖」によって酸っぱい匂いや、アンモニア臭が生まれてしまうのです。また、汗が出てくる「汗腺」という場所によっても匂いの性質が変わってくることがわかっています。ワキガの症状で悩まれている方の多くが後者に該当します。

エクリン腺とアポクリン腺

汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」という2つがあり、エクリン腺で体の水分を出し体温を調節する働きを担う一方で、アポクリン腺は匂いを発する働きを持ちます。匂いを発するために出る汗と聞くと、傍迷惑に感じるかもしれませんが、これは人間がより社会的な生き物になる以前に重要な働きを持っていたと考えられています。つまり匂いを放つことで、フェロモンのように異性を惹きつける働きをもっていたと考えられるのです。現在、強い体臭は社会を営む上でポジティブには捉えられておらず、実際に人の体においても「アポクリン腺」は数が減少し、存在する場所も通常一定の場所に限られています。

このアポクリン腺の数が多い方、活動が活発な方、匂いやすい汗が出やすい体質の方に多くみられるのが「ワキガ」の症状なのです。ワキガの治療には、体質改善で症状の改善が見られない場合などは、パースピレックの処方や手術によってアポクリン腺を除去する方法などがあります。

パースピレックスの働き

パースピレックスの主な働きを担っているのは「塩化アルミニウム」という成分です。この塩化アルミニウムは水に反応し結晶化する作用をもっています。パースピレックスを汗腺の働きが比較的穏やかな就寝前に、脇などのにおいが気になる箇所に塗布しておくと、汗腺から出てきた汗と塩化アルミニウムが汗腺に蓋をするように結晶化することで、汗が体外に流れるのを防ぐことができるのです。

塩化アルミニウムは成分のみであれば一般的な薬局などで入手することができるため、水やエタノールで薄めたものを自作している方もいらっしゃるようです。ただ、肌に塗布して使用する際に荒れてしまったり、また汗腺の蓋となる結晶によって痛みが生じるケースなどもあります。パースピレックスには特殊な成分でそれらを解消したことで、より利便性の高いものに仕上がっているのです。

パースピレックスの使い方

パースピレックスは「ロールオンタイプ」といって、ボール状の塗布部を直接肌に当てることで使用します。使うタイミングとしては、前述したように汗腺の働きが穏やかな就寝前がよいでしょう。就寝中がより結晶化を促しやすいと考えられているためです。アポクリン腺は、脇、股間、耳の裏、などに分布していますので、これらの場所をメインに気になる箇所に塗布します。汗腺の蓋となった決勝は3~5日程度で自然に取れますので、継続した効果を希望する場合は3〜5日置きにに使用してください。

パースピレックスには、4つのパッケージがあり、通常タイプ、ストロングタイプ、敏感肌タイプ、手足用ローションタイプと分かれており、それぞれの用途に応じて使い分けができます。「デトランスα」という名前で日本で取り扱われているパースピレックスは「通常タイプ」のもののみのようで、その他のタイプを希望される方は個人輸入などで購入する必要があります。

ただED治療薬の個人輸入のサービスを調査したところ、4割近くが偽物であったとする調査結果もでていることから決してお勧めはできません。「体臭」専門の外来などの専門医療機関はあまりまだ耳にしたことがありませんが、皮膚科や一部の自由診療のクリニックにおいてパースピレックスの処方を行っているところもあるようです。お悩みの方は医師にご相談いただくのが良いでしょう。

 

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記事監修

平成16年
秋田大学医学部医学科卒業
平成16年
上尾中央総合病院
平成26年
ユナイテッドクリニック池袋院
平成27年
ユナイテッドクリニック上野院
平成29年
ユナイテッドクリニック大宮院院長就任
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