ダポキセチン
射精とは脳内のノルアドレナリンによって支配されており、ノルアドレナリンが増加することで射精します。ノルアドレナリンは緊張や不安等のストレスで増加します。そのため性行為中に過度の緊張があるとノルアドレナリンが増加してすぐに射精し、早漏となってしまいます。射精に関係する脳内伝達物質の一つであるセロトニンは、快感を増幅する作用のあるドーパミンやノルアドレナリンを抑制する働きがあります。近年、多くの方がお悩みの早漏の原因はこのセロトニン不足であることが分かってきました。ノルアドレナリンと比較してセロトニンの脳内分泌量が相対的に少なく、ノルアドレナリンを抑制できないため自分の意図しない射精が起こってしまうのが早漏の主な原因です。
ダポキセチンとは
ダポキセチンは早漏治療薬「プリリジー」の主成分として知られています。ダポキセチンはSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)に分類されます。脳内神経伝達物質セロトニンの再吸収を阻害することでセロトニンの濃度を高め、ノルアドレナリンの分泌を抑制します。これにより脳内の過剰な興奮を抑制し、射精時間(持続時間)が延長されます。ダポキセチンは他のSSRIと比較した時に、特異的に射精中枢に作用し、脳内セロトニン濃度を上昇させるところが大きな違いです。
ダポキセチンは世界で最初の服用する早漏治療薬です。ダポキセチンは「プリリジー」として製造販売され高い評判・評価を得ています。ダポキセチン登場以前は早漏防止法、早漏改善法などと言われるセマンズ法、スクィーズ法等のトレーニング法や局所麻酔薬リドスプレーで感度を低下させる治療、包径治療等が行われてきました。しかし現在ではトレーニング法や包茎手術の早漏治療効果は否定的です。現在、世界での早漏治療の標準治療はダポキセチンの服用治療になっています。
科学名:ダポキセチン
別名:ダポキセチン
英語化学名:Dapoxetin hyderocholoride
分子式:C21H23NO.ClH
ダポキセチンの効果
ダポキセチンは早漏の原因であるセロトニン不足による相対的なノルアドレナリン過剰を改善します。ダポキセチンを服用することで脳内神経伝達物質セロトニンの再吸収を阻害し、セロトニンの濃度が高まることでノルアドレナリンの分泌を抑制します。これによって脳内の過剰な興奮が抑えられ、射精時間が延長されます。
その効果ですが、射精時間(持続時間)が約で3~4倍ほど延長されます。アメリカ人男性2000人を対象とした臨床研究においてダポキセチン30mg、60mgを12週間にわたり、性行為の度に服用させたところ、膣内挿入から射精まで平均54秒であった方が30㎎を服用した場合に平均3分41秒まで延長、またダポキセチン60㎎を服用した場合4分11秒まで延長しています。またパートナーの満足度も2倍の改善効果が認められ、性行為中の男女両方ともに有意な結果が報告されています。また射精時間(持続時間)が延長しても感度はかわりません。
ダポキセチンは高い早漏改善率を誇ります。ダポキセチンの早漏治療は約75%の方に効果的ですが、他の早漏に効果があると言われる薬剤、例えば「従来の早漏薬」と呼ばれるパキシル(パロキセチン)は約16%の方にしか効果を示しません。このことより早漏でお悩みの方の多くにダポキセチンによる早漏治療が効果的であることがわかります。
また、ダポキセチンを適宜服用することでより射精時間(持続時間)が延長する効果も知られております。(使っていると段々と射精時間がより長くなります。)また性行為の際に都度、継続的にダポキセチンを服用することで早漏症自体の改善効果もあると言われており、ダポキセチンの早漏治療の継続性が指摘されています。
ダポキセチンのEDに合併した早漏治療効果
ED(勃起不全)の方の30%に早漏を合併することが知られております。これはセロトニン不足以外にも陰茎の硬度が問題になります。陰茎の硬度が低下すると感度が上昇し、射精時間が短縮し早漏になります。EDに合併した早漏の場合バイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)等と併用してダポキセチンを服用すると効果的です。ED治療薬3剤ではレビトラ10mg以上で射精時間(持続時間)の延長効果が知られていますが、副次的な効果であり、また硬度が改善できた場合でも早漏が改善しない場合が多々あります。ED治療薬とダポキセチンは作用機序が違うために併用治療が可能です。EDと早漏の合併にはレビトラ(バルデナフィル)とダポキセチンの併用によるED治療、早漏治療が第一選択となります。
ダポキセチンの飲み方・服用方法
ダポキセチンは短時間作用型のSSRIです。性行為の1~3時間前に服用します。ダポキセチンは服用後、1~3時間ほどで最高血中濃度に達します。ダポキセチンの効果持続時間は4~5時間ほどです。
ダポキセチンとして通常、30mgを服用しますが重篤な副作用報告がなく60mg錠で治療を開始することが多い薬剤です。効果が不十分な場合、90mgまで服用することが可能です。ダポキセチンは1日2回まで服用することができます。服用の際は錠剤だけでではなくお薬が溶けやすいように水またはお茶などで服用しましょう。またダポキセチンは食事の影響を受けませんのでいつ服用してもかまいませんがED薬と併用する場合は空腹時に服用した方がいいでしょう。
また早漏防止薬の局所麻酔薬リドスプレーは作用機序が違うため併用することができます。
ダポキセチンの副作用
ダポキセチンは大規模臨床試験等行われた後に安全性・有効性が確認されたためスウェーデン、ドイツ、イタリア、ポルトガル、フィンランド、ニュージーランド、シンガポールなど世界60か国以上で認可されています。すでに数百万人以上の方が服用しており、効果や副作用の臨床報告もされています。これらによるとダポキセチンの服用で重篤な副作用の報告がされておらず、安全性が高いことが判明しています。副作用は1~10%未満と報告されており、主なものは「頭痛」、「めまい」、「ふらつき」「嘔吐」、「下痢」、「睡眠障害」、「疲労感」、「眠気」、「のどの渇き」などです。
ダポキセチンの併用禁忌
パキシルなど他のSSRIを服用している場合はダポキセチンを服用することができません。休薬が必要です。また女性や18歳未満の方、抗うつ剤、鎮痛剤、睡眠薬、抗真菌薬(水虫薬など)などを服用中の方、心不全や狭心症など心臓に疾患のある方、肝障害、腎障害のある方などは服用を控えてください。
ダポキセチンの通販・個人輸入
ダポキセチンが含まれた製剤は海外で多く販売されています。ダポキセチンとシルデナフィル(バイアグラ)の合剤(1錠の中にダポキセチンとシルデナフィルが混合されている)も数種類あります。シルデナフィルはバイアグラ、バイアグラジェネリックとして日本でも承認されていますが、ダポキセチンは日本ではまだ承認されていないため、入手するには早漏治療を行っているクリニックでの処方か、通販・個人輸入で入手することが可能です。プリリジーは非常に高価な薬剤で通販や個人輸入でも日本で処方されているED薬よりも高値で販売されています。ダポキセチン自体は本来、価格が高い製剤です。プリリジージェネリックとしてポゼット、エバーラスト、合剤のスーパーカマグラやタダポックスなどがあります。
通販・個人輸入でのダポキセチンは非常に偽物・偽造品が多く、特に安い価格のものには偽物がかなり含まれていますので、絶対に偽物・偽造品を服用しないようにしましょう。ユナイテッドクリニックでは安全・安心の流通路を持つ早漏治療専門クリニックでの処方をお勧め致します。
ダポキセチンの種類
ダポキセチン製剤の種類を示しました。早漏治療においてED合併の早漏患者は非常に多く、ED全体の1/3が早漏を合併すると言われています。
製剤名 | 成分 | 特長 |
---|---|---|
プリリジー | ダポキセチン | 世界初の早漏治療薬 |
ポゼット | ダポキセチン | 通販で偽物が多い |
エバーラスト | ダポキセチン | 通販で偽物が多い |
スーパーPフォース | シルデナフィル+ダポキセチン | バイアグラ+プリリジー |
スーパーカマグラ | シルデナフィル+ダポキセチン | バイアグラ+プリリジー |
シルティグラ | シルデナフィル+ダポキセチン | バイアグラ+プリリジー |
スーパータダライズ | タダラフィル+ダポキセチン | シアリス+プリリジー |
タダポックス | タダラフィル+ダポキセチン | シアリス+プリリジー |
スーパーアバナ | アバナフィル+ダポキセチン | ステンドラ+プリリジー |
プリリジーはJohnson&jJohnson社(ジョンソンアンドジョンソン社)の製薬部門であるヤンセン製薬が開発しました。世界で初めての経口の早漏治療薬です。ポゼット、エバーラストは同様にダポキセチンを有効成分としています。成分が同じですので効果や副作用も同じです。ポゼット、エバーラストは偽物・偽造品が多いので通販や個人輸入での服用はお勧めできません。
「スーパー」がつくと大体はダポキセチンとED薬の合剤です。バイアグラ(シルデナフィル)とプリリジーの合剤は作用時間が近いため効果があると思われますが、シルデナフィル自体には射精時間の延長効果が認められておらず、レビトラ(バルデナフィル)とプリリジーを服用する方が効果的と思われます。
シアリス(タダラフィル)とダポキセチンの合剤は人を選ぶかもしれません。長時間作用のシアリスと短時間作用型のダポキセチンですので人によってはシアリス(タダラフィル)の効果が出てきたころにはすでにダポキセチンの効果がなくなっている可能性は否定できません。
アバナフィルはアメリカで開発されたED治療薬「ステンドラ」の主成分です。超速効型のED治療薬で、レビトラよりも即効性があることで知られています。そのためアバナフィルとダポキセチンの合剤に関してもせっかくの超速効性のアバナとダポキセチンの効果のピークがずれる可能性があります。
薬剤の血中濃度のピークを考えるとバイアグラ(シルデナフィル)とダポキセチンを一緒に服用するとよさそうです。ただ、バイアグラは射精時間の延長効果が認められていないため、射精時間の延長効果が認められているレビトラとダポキセチンの併用が有効でしょう。