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ザルティア

ザルティア

ザルティアとはED治療薬シアリスと同じ主成分をタダラフィルとした、前立腺肥大症に伴う排尿障害を適応として2014年1月に厚労省に承認された薬剤です。同年の4月17日に販売が開始されました。ザルティア錠「2.5mg」「5mg」の2種類があり、PDE-5を阻害する作用を利用した前立腺肥大症による排尿障害改善薬は日本で初めての販売という事もあり、注目されました。

ザルティアの効果

前立腺肥大症は生殖器官として重要な前立腺の細胞数が増えていき、肥大化してしまう病気です。前立腺は男性のみに存在する臓器で、尿道の周りを取り囲むように存在しています。前立腺は年齢と共に大きくなるため、加齢による前立腺肥大症が増えていきます。前立腺の肥大により尿道が圧迫されてしまい、「残尿感」や「尿のキレが悪い」などの症状が表れてきます。前立腺肥大症の治療には、前立腺の筋肉の緊張をほぐすという方法がとられます。筋肉の緊張をほぐすことにより、筋肉を弛緩させ、尿の通りを改善させることが出来ます。この筋肉の弛緩を体内で行うには、「一酸化窒素(NO)」が関与してきます。一酸化窒素が前立腺や血管の平滑筋に入り、筋肉を緩ませるのですがその働きを阻害し、筋肉を再び収縮させる効果を持つのが「PDE-5」という酵素になります。そこで登場するのが「ザルティア(タダラフィル)」になります。先にも書いた通り、ザルティアの主成分タダラフィルは、PDE-5を阻害する作用があります。ザルティアを服用する事で、PDE-5を阻害し筋肉の収縮を抑え、前立腺や血管の平滑筋が弛緩することで尿道の圧迫が解消されます。尿道の通りを改善させ、前立腺肥大症に伴う排尿障害を治療することが出来ます。

ザルティアとシアリス

先ほど書いたように、ザルティアの主成分は【タダラフィル】となります。これはED治療薬である「シアリス」の主成分と同じです。主成分が同じであれば、ザルティア、シアリスと名前を分ける必要がないのではないかとおっしゃる方も居ますが、これにはきちんとした理由があります。それは、「何を適応とするか」ということです。前立腺肥大症による排尿障害の適応としては、ザルティア、ED治療の適応としては、シアリスという名前の治療薬として販売されています。ED治療薬のシアリスは保険適用外の薬剤です。前立腺肥大症による排尿障害の治療薬として厚労省に承認してもらいシアリスを保険適用することは、保険適応外であるED治療薬の販売名であるシアリスのままでは不可能となります。(同じように保険適用のザルティアを保険適用外であるED治療薬として適用することは不可能です。)その結果、新たにザルティアという名前にし、前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療薬として承認を受け販売をする必要がありました。ちなみにですが、アメリカでは健康保険制度がない為、「ED治療薬」と「前立腺肥大症による排尿障害治療薬」として、シアリスが処方されています。

タダラフィル

タダラフィルは他のED治療薬の主成分、シルデナフィルやバルデナフィルと同じく、ホジエステラーゼ5(PDE-5)阻害薬に分類されます。タダラフィルはED治療薬として開発されましたが、後に前立腺肥大や肺動脈高血圧症に効果があることが判明しました。さきほど書きましたが、前立腺肥大症薬としては「ザルティア」、肺動脈高血圧症薬としては「アドシルカ」としてそれぞれ処方されています。タダラフィルは適応によって用量が変わります。「ザルティア」は5mg、「アドシルカ」は40mg、「シアリス」は5mg、10mgと20mgなっています。このようにタダラフィル40mg/日までは安全性が認められていますが、ED治療薬としては1日20mgまでが適応となります。

ザルティアの副作用

主成分がタダラフィルのザルティアの副作用はシアリスと同じになります。主な副作用として、頭痛、ほてり、消化不良などが挙げられますが、これらの副作用は時間経過とともに症状は治まります。稀に発疹、蕁麻疹、などが副作用として現れることがあります。このような症状が認められた場合、服用を中止し処方された医療機関などで医師の診断を受けてください。

併用禁忌

主成分が同じシアリスの併用禁忌薬と同じになります。主に狭心症、心筋梗塞で硝酸剤などを使用している方は、急激に血圧を下げてしまう危険性があるため処方することは出来ません。服用・使用している薬がある場合は、お薬手帳を持参して頂くとスムーズに診察・処方が行えます。

ザルティアとED治療薬

ザルティアの主成分はED治療薬であるシアリスと同じ「タダラフィル」です。主成分が同じならED治療薬としても使えるんじゃないの?と思うかもしれません。シアリスと違いザルティアは保険が適応されますので、1割もしくは3割の負担で安くED治療をしてしまおうと考えてしまうのも当然です。主成分が同じな訳ですから、保険適用外のシアリスを使用するより、ザルティアを使う方が負担を抑えることができます。

ザルティアとシアリスの価格(ザルティアは2015年9月現在 シアリスは当院価格※東京最安値)

ザルティア錠2.5mg 1錠 118.30円(薬価)

ザルティア錠5mg 1錠 230.60円(薬価)

シアリス20mg錠 1錠 1690円(再診1790円)

シアリス20mgと同じED薬の効果を得る為には、ザルティア5mg錠を4錠服用する必要があります。5mg錠は1錠230.60円ですから、4錠で922.4円となります。ザルティアは保険が適用されますので、実際にはこの金額の1割もしくは3割の負担ということなります。この結果から見ても、シアリスを使用するよりザルティアを使用する方が負担がかなり減ることが分かりますので、ザルティアをED治療薬として使う方がかなり割安ということが言えますが、ザルティアをED治療薬として使うことは現実的ではありません。これは厚生労働省が適正使用を促し、処方を厳しく制限しているからです。

厚生労働省からの通達

ザルティア錠2.5mg及び5mg本製剤の効能・効果に関する使用上の注意において「本剤の適用にあたっては、前立腺肥大症の診断・診療に関する国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、適切な検査により診断を確定する事」とされており、適切な検査により前立腺肥大症と診断された場合に限り算定できること。また、診療報酬明細書の木佐に当たっては、尿流測定検査、残尿検査、前立腺超音波検査などの診断に用いた主な検査について、実施年月日を摘要欄に記入する事。という通達が医療機関に通達されました。簡略すると『きちんと検査を行い前立腺肥大症と診断後にザルティアを処方しなければ、保険請求を認めません。』という事です。検査費用を考えると、ザルティアをED治療薬として使用するには割高になってしまいます。これらがザルティアをED治療薬として使用することは現実的ではないと言った理由です。また日本泌尿器科学会と日本新薬から「ザルティア錠のED治療薬として適応使用をしないよう」医療機関に通達もありました。そのためユナイテッドクリニック各院ではこの通達を遵守し、ザルティア処方ではなく、シアリスを最も安い価格で処方することで正しいED治療薬の服用ができるよう対応しています。

タダラフィルの用量

ザルティア、シアリスの他にタダラフィルを主成分とする薬がもう1つあります。それが、アドシルカという薬です。アドシルカは、肺動脈性肺高血圧症の治療薬として使用されています。タダラフィルを主成分とするこの3剤ですが、薬によって1日に飲める用量に違いが出ています。ザルティアとして服用する場合は1日5mgまで、シアリスとして服用する場合は1日20mgまで、アドシルカととして服用する場合は1日40mgまでとされています。腎機能低下、透析患者への投与の場合も服用量が違い、シアリスの場合5mg、アドシルカの場合20mgまでとされています。主成分が同じ3剤なのになぜ服用量が違うのかは、適応症によるためです。先ほど書いた通り、シアリスの1日の服用量は20mgまでですが、アドシルカの1日の服用量は40mgまでとなっています。ということは、シアリスを40mg飲んだとしても問題ないのではないか?と考える方もいるでしょう。実際にそのような質問を受けたこともありますが、何とも答えにくい質問です…。タダラフィルがED治療薬として1日に認められている服用量は20mgまでですので、ユナイテッドクリニックでは1日20mgまでしか服用にならないようにお願いしております。

通販と個人輸入の危険性

通販や個人輸入などで手に入れたシアリスなどのED治療薬を使用する事は大変危険です。製薬会社の調査では、通販や個人輸入で手に入れたED治療薬の60%が偽造品や粗悪品であることが明らかになっています。これは、製薬会社に問題があるわけではなく、流通の際に偽造品が混入するためです。偽造品は効果がないだけではなく、身体に害を及ぼす可能性があります。偽造品や粗悪品を服用してしまったために思わぬ副作用が現れてしまい、取り返しがつかなくなることも考えられます。実際にシアリスの偽造品で死亡事故が報告されています。きちんとした流通経路持つ医療機関などで処方された薬剤であればそのような心配はありませんが、患者様個人ではきちんとした流通経路を持つ輸入代行業者の選別は非常に難しく、困難と言えるでしょう。近年は、偽造品の模倣技術も高くなっており、非常に精巧に作られ見た目で判別することは非常に困難です。ユナイテッドクリニック各院ではきちんとした流通経路をもつ医療機関で処方されることをお勧めいたします。