フィンペシア
フィンペシアは最も有名なプロペシアジェネリック(フィナステリド)で,Ⅱ型5α-還元酵素阻害薬に分類されます。フィンペシアの作用機序はⅡ型5α-還元酵素を阻害しAGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の産生を抑制することで発毛・育毛効果を発揮します。製薬メーカーはシプラ社(Cipla社)。プロペシアと違い、研究開発費がかかっていないためプロペシアより安い価格(値段)で販売されています。
*当院ではフィンペシアの処方はしておりません。フィナステリド1mg錠28日分・140日分の取り扱いをしています。
フィンペシアとは
フィンペシアはプロペシアジェネリック
フィンペシアは、インドの製薬会社「シプラ社」が製造販売しているAGA(男性型脱毛症)治療薬です。
有効成分はフィナステリドで、プロペシアと同じ効果が期待できます。フィンペシアは、5αリダクターゼII型を阻害し、ジヒドロテストステロンの生成を抑えてAGAの進行を遅らせます。
また、ヘアサイクルを正常な状態に戻すことで、抜け毛や薄毛の改善が期待できます。
フィンペシアは、日本国内で承認されていない薬剤です。
フィンペシアは、毎日一錠を決まった時間に服用することが勧められます。服用する時間帯に関してはいつでも問題はありませんが、例えば朝の9時に飲むのであれば、毎日朝の9時に服用します。
医薬品は代謝の際に肝臓に負担をかけるものです。そのため、医薬品を服用する際には、アルコールを摂取しないように心がけましょう。
薬剤名 フィンペシア(Finpecia)1mg
製造・販売:シプラ(Cipla)社
分類:Ⅱ型5α-還元酵素阻害薬
適応症:男性型脱毛症薬の進行遅延
フィンペシアの効果
フィンペシアはAGAの進行を遅延させます。
プロペシアの適応症は成人の男性型脱毛症の進行遅延です。フィンペシアも同様です。そのため成人していない男性はフィンペシアを服用してはいけません。フィンペシアはⅡ型5α-還元酵素阻害薬に分類されます。
フィンペシアはAGAの原因であるDHTの産生を抑制します。
髪の毛には寿命・周期があり、ヘアサイクルと呼ばれています。古い毛が抜けて新しい毛に生え変わりますが、休止期、成長期、休止期に分けられ、通常6年ほどのサイクルです。成長期の期間がもっとも長く、髪の毛を長く太い毛にします。薄毛・AGAの主な原因物質はDHT(ジヒドロテストステロン)で薄毛の頭皮に通常より多くのDHTが確認されています。男性ホルモンのテストステロンが5α-還元酵素によって変換されるとDHTが産生されます。産生されたDHTが毛乳頭細胞に存在するDHT受容体と結合すると成長期にある毛髪に信号を出し、退行期又は休止期に移行させてしまいます。その結果退行期の細い毛髪になり、長く太い毛髪になる前に抜けてしまうため、毛髪は薄く、細く、短い毛となってしまいます。
フィンペシアはDHT産生する途中で作用する5α-還元酵素Ⅱ型を阻害し、DHT産生を抑制します。DHT産生を抑制することでヘアサイクルを整え、成長期をある程度元に戻すことで細くなった髪の毛にこしが出たり、休止期にある毛髪も成長期になり薄毛になったところから産毛が生えてくるようになり、薄毛(AGA)を改善します。
*MSD社 AGA-News うす毛のメカニズムより
フィンペシアの薄毛(AGA)治療効果
フィンペシアの効果ですが、98%の方で発毛効果が見られます。フィンペシアの継続的な服用で現状維持~軽度改善の効果が期待できます。効果がしっかりと出てくるまでに早い人で3~4カ月、一般的には6ヵ月程度で効果を実感すると言われています。薄毛治療(AGA治療)は最低1年以上治療する必要があります。現状維持が40%、軽度~著名改善は58%ですが、著名改善は頭頂部で6%、前頭部・生え際、M字ハゲで2%ほどです。フィンペシアは多くの方に現状維持~軽度改善の効果が期待できます。またフィンペシアでのAGA治療の効果判定は治療開始6カ月後、薄毛治療(AGA治療)は一般的に最低1年以上治療する必要があります。
*フィナステリド1年投与での効果
軽度以上の改善(軽度~著名改善) | 58% |
現状維持 | 40% |
フィンペシアが効かない場合は、ミノキシジルを併用する必要があります。ミノキシジルは頭皮の血流を改善させることで高い発毛・育毛効果を発揮します。また海外臨床試験ではフィンペシアの成分フィナステリド1mgからデュタステリド0.5mg(ザガーロ・アボルブ)への切り替えで約77%に発毛が見られています。しっかりとした発毛効果を希望される場合はミノキシジルの併用がおすすめです。医師と相談しながら行うことをおすすめします。
フィンペシアの長期間でのAGA治療効果
*治療期間と期待される効果
治療期間 | 期待される効果 |
---|---|
~3か月 | ・抜け毛の減少 ・生え際に産毛が目立つ。 |
4~6ヶ月 | ・産毛が太くなり、伸びる。薄毛が目立たなくなりはじめる。 |
6ヶ月~1年 | ・明らかな抜け毛の減少 ・後退していた生え際が前進する ・毛髪のボリュームを感じる。4人に1人は効果を実感する |
1年~3年 | ・薄毛が徐々に減る ・4人に3人は、効果を実感する ・それまでに改善がなかった部位でも改善 |
4年以降 | ・改善した毛髪が維持される |
20歳以上50歳以下の男性で脱毛症以外に持病がない健康な軽度~中等度までのAGA患者ではフィンペシア1mgの1年間投与により58%、2年間で68%、3年間で78%の改善効果が認められています。 またフィンペシア1mgの1年間の服用で40%、2年間で31%、3年間で20%の現状維持効果が報告されています。
フィンペシアの飲み方・服用方法
フィンペシアの飲み方・服用方法は1日1回服用します。食事の影響はありませんので好きな時間に服用することが出来ます。飲み忘れで薄毛の改善効果が低下しますので飲み忘れないようにしてください。海外ではフィンカー5mg錠など5mgの製剤がありますが前立腺肥大症の治療用量です。AGAに関して1mg以上を服用してもあまり効果は変わりません。
フィンペシアが効かない場合は
フィンペシアは98%の方に現状維持~著名改善の効果を発揮しますが、2%の方には効果がありません。また現状維持の方も40%おり、もっと生やしたい、フィンペシアの効果に満足していない、効かない場合は、2通りの考えがあります。
フィンペシアからデュタステリド(ザガーロ・アボルブ)への切り替え
デュタステリドはフィンペシアの主成分であるフィナステリドと同様に日本でアボルブとして前立腺肥大症の適応で認可されていた薬剤です。海外ではAGA治療薬として認可されていました。海外ではプロペシアより少し後に発売された薬剤で古い薬ですが、2015年9月に日本でAGA治療薬「ザガーロ」として認可され、2016年6月に販売されました。ザガーロは5α-還元酵素阻害薬に分類されます。フィンペシアがⅡ型のみを抑制するのに対し、ザガーロ・アボルブはⅠ型・Ⅱ型の5α-還元酵素を阻害します。そのためフィンペシア(フィナステリド)1mgとザガーロ・アボルブ0.1mgがほぼ同等の発毛・育毛効果を、ザガーロ・アボルブ0.5mgではフィンペシアの約1.6~1.7倍の発毛効果を有します。
*毛髪数のベースラインからの変化量(24週時)
またフィンペシアからザガーロに切り替えた場合で約78%の方に、より高い発毛効果が見られたことが分かっており、フィンペシアが効かない場合は有効な選択肢の一つと言えるでしょう。
フィンペシアとミノキシジルの併用
ミノキシジルの発毛のメカニズムですが、ミノキシジルの血管拡張作用により血流が改善、毛乳頭細胞や毛母細胞が活性化されて細胞分裂が起こり、発毛が促進されるといわれています。内服薬・外用剤も発毛への機序は同様です。服用するか、塗布するかの差になりますがミノキシジルタブレット(錠剤)が最も高い発毛効果を有しています。フィンペシアと作用機序の違うミノキシジルの併用は非常に有効で高い発毛・育毛効果をもたらします。ミノキシジルタブレット(ロニテン・ミノタブ)は2.5mg錠・5mg錠・10mg錠があり、2.5mg、5mg程度から開始するのがいいでしょう。また外用剤は日本ではリアップx5などとして知られています。世界ではロゲイン5%として人気がある発毛剤・育毛剤です。科学的な根拠が認められており、2010年日本皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドラインでは推奨度A(最も勧められる)とされています。
フィンペシアはAGAの原因物質DHTの産生を抑制しますので、ヘアサイクルを元の状態に戻します。ヘアサイクルが正常化してくると休止期に移行していた毛髪が成長期に入り、再び産毛として生えてきます。ミノキシジルは頭皮の血流を改善させることで、活性が低下していた毛母細胞の活性を促し、髪の毛を太く長い髪へ成長させていきます。フィンペシアとミノキシジル、作用機序の違う2種類のAGA治療薬の併用は多くの方に高い発毛が期待できます。またデュタステリドとミノキシジルの併用は臨床試験の結果報告はありませんが、フィンペシアとデュタステリド(ザガーロ・アボルブ)の作用機序が同等であり、かつ強力であるため、更に高い発毛・育毛効果が予想されます。
フィンペシアの副作用・初期脱毛
フィンペシアの副作用は全体の4%程度で少なく、比較的安全、安全性の高い薬剤と言えます。性欲減退やEDなどの副作用が服用した方の1%前後に見られます。性欲減退が1.1%、EDが0.7%です。稀に肝機能障害を起こすことがあります。強い倦怠感が出現した場合は医療機関を受診するようにしてください。治療初期に一時的な脱毛が起きることは初期脱毛と言われていますが、フィンペシアに初期脱毛は殆ど起こりません。
フィンペシアの注意点
フィンペシアは女性や子供への影響がはっきりしていないこと、経皮吸収の程度がはっきりしていないため女性、子供にフィンペシアに触れさせてはいけません。妊娠初期に男性男児の外性器の発育に影響を及ぼす可能性が示唆されていますが、発売から今までに実際に男性外性器に障害を及ぼしたという報告は1例もありませんので過度な心配は不要です。同様の理由で献血の際には1か月の休薬が必要です。また前立腺癌の腫瘍マーカーPSAを1/2に低下させます。単純に2倍すると元の数値になることが分かっています。PSA検査を受ける際にはフィンペシアを服用していることを担当医に伝えてください。
- フィンペシアは男性のAGAの進行遅延に効果があります。円形脱毛症や抗癌剤などによる脱毛症に対してフィンペシアは何の効果もありません。
- 20歳未満での安全性及び有効性は確立されておらず、20歳未満に対してフィンペシアは処方できません。
- 女性に対してフィンペシアは効果がないことが女性判明しています。また妊娠中の女性がフィンペシアを服用・接触すると男性胎児の生殖器官の正常発育に影響をおよぼす恐れがあります。妊婦、妊娠している可能性がある女性および授乳中の女性はフィンペシアを服用しないでください。またフィンペシアを分割・粉砕しないようにしてください。フィンペシアの経皮吸収の程度は不明です。
- 3と同様の理由でフィンペシアを服用中の方は献血ができません。献血をする場合はフィンペシアの服用を中止し、1か月以上間隔をあけてください。(日本赤十字社からの注意喚起より)
- 前立腺のマーカーであるPSAの数値を1/2にします。検査の時に健康診断医やかかりつけ医にフィンペシア(フィナステリド)を服用していることを必ずお知らせください。
フィンペシアとキノリンイエロー
キノリンイエローは黄色203号(別名キノリンイエローWS)でタール色素に分類される合成着色料です。キノリンイエローは医薬品や化粧品に以前から使用されていました。食品への添加は安全性が証明されていないので、食品への添加は認められていません。フィンペシアもコーティング剤としてキノリンイエローを使用していましたが、一時期キノリンイエローが発癌性物質であるという情報が流れました。これはキノリンイエローが子供の運動や学習に問題を起こす可能性があると一部研究で指摘されたため、イギリスでは食品添加物として使用することを自主規制するようにメーカーに勧告していること、ヨーロッパ食品安全委員会(EFSA)もキノリンイエローの摂取制限をしていること、ほかの複数のタール色素が以前発がん性を指摘されたことがあり、噂が広まったようです。食品と違い医薬品での場合はキノリンイエローごく微量なため特に規制はありませんし発癌性は認められていません。シプラ社はキノリンイエローフリーのエフぺシアを発売して対応していましたが、現在ではフィンペシアもキノリンイエローフリーとなっていますのでご安心ください。
フィンペシアの通販・個人輸入はおすすしません。
プロペシアの日本国内の特許は満了を迎えています。そのためフィナステリド「ファイザー」や沢井製薬やクラシエからフィナステリド「サワイ」、フィナステリド「クラシエ」も販売されています。しかしフィンペシアは効果が同等で価格が安いため通販・個人輸入でとても人気があり、口コミ、2ch、レビュー、ブログなどでも評価・評判も高く、おすすめされているようです。
海外AGA薬の個人輸入・通販に関しては認められていますが錠数の制限や本数の制限などがあることや偽物が多いことが問題となります。非常に精巧にできているので見た目での判別は非常に難しいうえに内服・外用することで深刻な健康被害を引き起こすことがあるため危険です。フィンペシアの通販・個人輸入は激安・格安・最安(最安値)かもしれませんが健康を害しては意味がありません。
フィンペシア処方
厚生労働省はAGA治療薬、特にプロペシアジェネリックの通販・個人輸入に注意喚起を行いクリニックや病院などの医療機関でのフィンペシア(プロペシアジェネリック)の処方を推奨しています。病院やクリニック等の医療機関では医師専用の流通があり、厚生労働省の出先機関である各地方厚生局から薬監証明を取得し、海外正規品の医薬品を取り扱うことができます。AGA治療薬はAGA専門クリニックでの処方がお勧めです。
ユナイテッドクリニックではプロペシアジェネリックを診察の後、院内ですぐ処方しており、処方箋不要で院外の薬局でプロペシアジェネリックを受け取る必要がなく、プライバシーに配慮しています。また院内処方のため処方箋薬局で処方での待ち時間も短縮できます。フィンペシア等プロペシアジェネリックの処方はAGA専門クリニックへご来院ください。